和声を独学で勉強するための、おすすめの本
和声の本は、数多く出版されております。
それらは、和声の教養を深めるため、和声の基本知識を得るため、
和声の技術を習得するためなど、さまざまな目的で制作されています。
それらの中で、おすすめする本は、
和声ー理論と実習ー
という本です。
これは、和声の基本から応用まで、そして、
さらに高度な和声への橋渡しができる本です。
和声の課題を独学で実施してみましょう
次に、「和声-理論と実習-」の課題を、
課題1~9まで実施してみましょう。
(課題7・8を除く)
課題1~6までは、例題をお読みになり、
課題を実施します。
決して読みやすい解説ではありませんが、
正しく記載されているので、
丁寧に読んでください。
課題1・・・密集・開離配分の和音を列挙します
和声-理論と実習-の第1巻、最初の課題なのですが、
答え方に迷われる方が、多くおられます。
例題をよく理解して、
p.22の上にあるように、密集配分と開離配分に分けて
並べることができれば、
きちんと実施できたことになります。
まずは、上部構成音列を書き、その右に、
密集配分で、低い方から高い方にかけて、
和音を並べていきましょう。
それから、音域外の音を含んでいる和音、
そして、バスとテノールの音域が
1オクターブと完全5度を超えて
離れている和音を排除します。
ここまでが密集配分の実施となります。
次は、開離配分も同様に実施して、完成です。
ところで、バスとテノールが同じ音になる和音は、
書けていますか。
これも見逃さないようにしてください。
きちんと実施を行ってから、例題1を読むと、
課題の意図などがお分かりになると思います。
課題1は、和声の基本となりますから、
すぐに実施できるようにしておきましょう。
課題2・・・残り2声部の和音を作る
バスと、ソプラノ・アルト・テノールのうちの
1つの声部が指定され、
残り声部を音符で記す実施です。
どの声部を指定されていても、
どんな配分を指示されていても、
正しく和音を作れるようにしましょう。
課題3・・・和音の連結・保留する場合
課題2までは、1つの和音を、
高音位・配分をもとにして
作っていました。
課題3からは、2つの和音を
連結する方法を学んでいきます。
1つの和音の作り方を
きちんと身につけておかないと、
すぐにつまづくので、
課題1・課題2を
よく復習なさってください。
さて、連結する2つの和音の構成音のうち、
同じ高さの音がありますか。
これを、「共通音」と呼んでいます。
2つの和音のうち、右の和音は、
共通音を先に埋め、
左の和音と同じ「配分」で、
残った2声部を書きます。
左の和音の配分が、密集配分ならば、
右の和音は、同じ、密集配分で、
左の和音の配分が、開離配分ならば、
右の和音は、同じ、開離配分で
揃えます。
課題4・・・和音の連結・保留しない場合
2つの和音に共通音がない場合の
連結方法を学びます。
バスの動き(上向き・下向き)に反行して、
ソプラノの動きが決まります。
それから、構成音に一番近い音に着地させる方法を
マスターしてください。
課題5・・・Ⅱ→Ⅴの連結
これまでは、共通音のある・なしによって、
連結方法が決まっていました。
ここからは、例外となる、和音の連結方法を
学びます。
まずは、ⅡとⅤの連結です。
この2つの和音には、共通音「レ」がありますが、
それを保留せずに、下行させます。
課題6・・・Ⅴ→Ⅵの連結
次に、例外となる連結は、
ⅤとⅥです。
第3音は導音となるので、2度上行し、
他の声部は、もっとも近い音に下行させます。
この連結方法だけでも、
最初のうちは扱いにくいところがありますが、
また、この連結方法を無視すると、
連続5度・8度が生じるので、
気をつけましょう。
Ⅵの次の和音への連結にも、工夫が必要です。
たとえば、密集配分を開離配分にしたり(配分転換)、
ソプラノを跳躍させたり、
さまざまな連結があります。
何通りかできるので、
いろいろ試してみると良いでしょう。
ここまでが、和声の基本となる、小課題です。
別冊の解答集に、解答が載っていないので、
ご自分でできているのか、
判断しなくてはなりません。
ルール通り、和音が連結できているかが重要なので、
何度も振り返ってください。
課題9・・・基本形の和音の連結(C-dur)
課題9からの和声課題
課題9から、小課題ではなく、Ⅰの和音で始まって終わる、
標準の和声課題となります。
課題1~6をきちんと身につけることが大事
課題9を実施する上で、大切なことは、
課題1~6をきちんと身につけることです。
十分に身についていないと、
連続5・8度、増音程、
並達5・8度などの禁則が生じてしまいます。
課題10・・・基本形の和音の連結(C-dur以外)
これまでは、すべて、C-durの課題でしたが、
課題10から、G-dur、D-dur、F-durなど、
C-dur以外の課題になります。
ここで、楽典を学んでいないと、
調が変わった時に、うまく対応できずに、
挫折してしまうことがあります。
音程・音階・調などを、復習して、
課題に臨んでください。
課題11・・・基本形の和音の連結(c-moll)
ここまで、すべて長調の課題が続きましたが、
課題11から、短調の課題に入ります。
まずは、c-mollの課題を進めましょう。
導音を半音高める、増音程を作らない
この2つに気をつけて実施をしましょう。
課題12・・・基本形の和音の連結(c-moll以外)
課題11の実施によって、短調に慣れてきたら、
g-moll、d-moll、f-moll
に取り組んでみましょう。
ここまで、基本形の連結が、
和声の基本となります。
以下に独学で気をつけることを
記載しましたので、参考になさってください。
1つの課題に対して、複数の実施ができます
開始和音のソプラノを、根音・第3音・第5音からはじめたり、
配分を、密集・開離にしたりして、
いろいろな実施をしましょう。
また、Ⅵの後のソプラノや配分も、
多くの選択肢があります。
そうすると、1つの課題に対して、
複数の実施ができるはずです。
こういう過程を経て、
和音が正しく連結されており、
ソプラノの動きが単調でない、
自然な動きをしている実施を
選びましょう。
参考として、p.107(3)をお読みください。
終結和音は、主音で終わる
さらに、終結和音は、主音で終わることを、
常に念頭に置いてください。
p.108(4)を、よくお読みください。
別冊の解答集を参考にする
課題9からは、別冊の解答集に実施例が記載されています。
作者が、ベストな実施を載せているので、
大いに参考にしてください。
しかしながら、1つの和声課題に対して、
いろいろな実施ができますから、
解答集と異なる実施になったからといって、
いけないわけではありません。
鍵盤で弾く
和声課題が実施出来たら、
鍵盤で弾き、音を確認しましょう。
慣れてくると、指の感覚で、
実施することができるようになります。
頭の中で音を鳴らす
和声を身につけている間に、
頭の中で音を鳴らすスキルを身につけましょう。
実施した課題を、鍵盤で弾き、
その後、音符を見ながら音を思い出す練習を
してください。
繰り返しているうちに、自然と音が浮かんでくるようになります。
「思い浮かべる」のではなく、
「思い浮かんでくる」感覚です。
添削を受ける
課題1~6など、小課題の解答は、
解答集には載っていません。
和声を習得された方に、添削をお願いしましょう。